このコーナーでは、歴代のフラメンコ歌手の中でも
フラメンコの発展に寄与したり、それぞれの時代を代表した
特に重要と思われるフラメンコ歌手をご紹介します。
ローラ・フローレ 1923年生まれ
ローラ・フローレは1923年へレスで生まれ、1995年マドリッドで亡くなりました。
女性フラメンコ歌手で、歴史上一番売れたのはたぶん彼女だと思います。
日本で言う、美空ひばりさんくらいのカリスマ性と人気があったんです。
彼女の名前を載せた冠番組も長年持っていましたし、
テレビのワイドショーでは、連日彼女の日常が報道されたほど。
(私が偶然見た古い映像では、娘さんが小学校に入学するのに、
手をひいて付き合うローラが紹介されていました。)
現在は、その娘のロサリオが人気ポップス歌手として活躍しています。
ローラ・フローレが他のフラメンコ歌手と大きく異なるのが、
踊りも踊っていたという事でしょう。
それも、よくフラメンコ歌手が行う<歌いながら踊る>のではなく、
踊るときは踊り手として、
一切歌うことなく足もちゃんと打って踊りました。
YOUTUBEなどネットで検索すると、彼女の踊りの映像もたくさん出てきますので、
興味のある方はぜひご覧になってください。
ただ、今日ご紹介する映像は、彼女の歌でも踊りでもありません。
なんと、詩を吟ずる姿なんです。
日本ではフラメンコ歌手が詩を吟ずる事はあまり知られていないかもしれませんが、
現在でも、多くのフラメンコ歌手が自身コンサートの中や、
踊りの公演内などで詩を吟じています。
この映像でローラ・フローレは、ロルカの有名な詩の一編を
感情たっぷりに吟じている、というより、演じています。
フラメンコ歌手、
コプラ歌手、
一般的な流行歌歌手、
フラメンコの踊り手、
テレビドラマの女優、
映画女優、
テレビのバラエティ番組のMC,
インタビュアー、
詩の吟じ手、
などなどなど。
ざっと上げただけでも、これだけの幅広い活躍をしていたローラ。
でも、本人は自分自身の事を、
ずっとフラメンコ歌手だと名乗っていたんですよ。
マリア・デ・ラ・オーに代表される映画出演も50本近くあり、
そのいくつかは今でもDVDで発売されていますし、
CDも追悼盤、全集などいろいろあって、
カンテのDVDも何種類も発売されています。
フラメンコ歌手以外の顔を持つアーティストを、
日本ではあまり珍重しないことがあるようなんですが、
彼女のような人がフラメンコの人気を支えていたことも、また1つの事実なんです。
2014年6月16日筆 Naranjita