このコーナーでは、歴代のフラメンコ歌手の中でも
フラメンコの発展に寄与したり、それぞれの時代を代表した
特に重要と思われるフラメンコ歌手をご紹介します。
マヌエル・エスカセナ 1886年生まれ
カンテ創成期にアントニオ・チャコンと一緒に活動していた
マヌエル・エスカセナ(本名 Manuel Jiménez Centeno)をご紹介しましょう。
マヌエル・エスカセナは、ニーニョ・デ・エスカセナとも呼ばれ、
セビージャで1886年に生まれ、マドリッドで1928年に亡くなりました。
アントニオ・チャコンは複雑で難しいカンテ
(グラナイーナとかマラゲーニャとか)を得意としていましたが、
マヌエル・エスカセナは、比較的わかりやすいカンテを多く歌いました。
本日ご紹介するガロティンも、
最初はエスカセナが カフェ・カンタンテ(ライブハウス)等に出ていた頃、
広く流行していたはやり歌でした。 (1910年頃からマドリッドなどで流行)
そんな流行歌だったガロティンを、フラメンコ歌手も歌うようになり、
フラメンコのレパートリーに取り入れたのは1915年頃と言われています。
その後、一般的な流行歌のガロティンは廃ってしまいましたが、
フラメンコに取り入れられたガロティンだけが、今も歌い継がれています。
フラメンコ(カンテ)のレパートリーは、
増えることもない代わりに、
捨てられ、忘れられてしまう事もないので、
当時の歌の姿も、今でもそのまま残しているのです。
この映像のガロティンは、
フラメンコのレパートリーに取り入れられたばかりの頃の録音で、
かぎりなくオリジナルに近い状態だと思われます。
ちなみに、日本でフラメンコの踊りを習っている方の多くが、
一番最初に歌ってみたいと思うのが、このガロティンのようです。
他のカンテはとっつきにくく、なんだかわからない事が多くても、
”ガロティンだったらなんとか歌えるようになるんじゃ!”
と思うのかもしれませんね。
そんな時、CDを探しにお店に行くと思うんですが、
ガロティンが入っているCDは少ないので、
探すのが難しいと質問を受けることがあります。
エスカセナお勧めなんですけど、、、、マニアック過ぎますか?
2014年6月16日筆 Naranjita