このコーナーでは、歴代のフラメンコ歌手の中でも
フラメンコの発展に寄与したり、それぞれの時代を代表した
特に重要と思われるフラメンコ歌手をご紹介します。
マヌエル・バジェホ 1881年生まれ
マヌエル・バジェホ(Manuel Jiménez Martínez de Pinillos)は、
1891年セビージャに生まれ、1960年同じくセビージャで亡くなりました。
オペラフラメンカの時代(1930年~50年)に主に活躍し、
生涯で123枚ものレコードをリリースした、ものすごい歌手なんです。
特にシギリージャで人気があったということなので、
シギリージャをご紹介します。ぜひ聴いてみてください。
マヌエル・バジェホは、
すべての曲種に精通する素晴らしい歌手という理由で、
1926年にカンテの金の鍵(LA LLAVE DE ORO DEL CANTE)を受けています。
今日はこの<カンテの金の鍵>のお話しをしたいと思います。
<カンテの金の鍵>は、今までに全部で5人の人が受けています。
最後の2人は21世紀になってとんとんと授与され、それを最後にこのシステムは終了し、
今後<カンテの金の鍵>は誰にも授与されないことになりました。
その5人と言うのは、
19世紀の歌手 エル・ニトリ(1868年受賞)
そしてこの マヌエル・バジェホ(1926年受賞)、
すでにご紹介した アントニオ・マイレーナ(1962年受賞)
同じく カマロン・デ・ラ・イスラ(2000年受賞)
最後に フォスフォリート(2004年受賞) です。
これだけ長い時期にわたっての授与なので、
その時々で提供者も違えば、授与理由も異なるようです。
総じて言えば、カンテの金の鍵という名前に象徴されるように、
カンテの秘密の鍵を開けたと思えるほど、素晴らしいフラメンコ歌手であるということ。
今から10年ちょっと前、私がセビージャにいた時に、
マヌエル・バジェホの伝記本が出版されました。
その時、初版限定で
CDがセットになっている本も売り出されたんですが、
おまけとして<カンテの金の鍵>のレプリカがついてきたんです。
12cmほどの金メッキされた鍵と、
優勝カップのようなもののミニチュアのセットで、
そのままキーホルダーとして使えるようになっていました。
本とCDをそれぞれ買うよりも、
少し割高だったんですが、おまけが欲しくてついつい。
翌日学校に持って行って、カンテのクラスメイト達に自慢したら、
なんとすでにほとんどの生徒が持っていたんですよね。
ミーハーな事なので、みんなちょっと恥ずかしそうでしたが、
でも、カンテを学ぶ者なら、一度は手にしたいですもんね。
実はこれ、かなり重たいものなので、
キーホルダーとして持って歩くのは厳しいので、
今もお教室で文鎮がわりに使っているんですよ。
みんな、まだ持って歩いているのかなあ???
2014年6月16日筆 Naranjita