このコーナーでは、歴代のフラメンコ歌手の中でも
フラメンコの発展に寄与したり、それぞれの時代を代表した
特に重要と思われるフラメンコ歌手をご紹介します。
ペペ・・デ・ラ・マトローナ 1887年生まれ
ペペ・デ・ラ・マトローナ(本名José Núñez Meléndez)は、
1887年セビージャで生まれ、1980年マドリッドで亡くなりました。
93歳でお亡くなりになる寸前まで現役として活躍され、
かなり小さいころからプロ活動をしていたので、
カンテ史上、最長の芸歴を持つと言われています。
ペペ・デ・ラ・マトローナは、1910年代に中南米に何度もわたり、
そのせいもあって、イダ・イ・ブエルタのカンテを得意としてきました。
また、晩年はカンテの流行の変動によって、
20世紀初頭には歌われていたのに、その後ずっと忘れ去られてしまっていたカンテを、
当時の記憶をもとに再度紹介し、多くの録音を残しました。
フラメンコのすべての曲種を収めた全集物には、
必ずペペ・デ・ラ・マトローナのカンテが入っているのは、そういう訳なんですよ。
今日ご紹介するカンテはタランタです。
タランタは、タラントのリズム違いと勘違いされる場合もあるのですが、
カンテの曲種名は、あくまでもメロディについた名前なので、
同じメロディなら、違うリズムで歌われても名前が変わることはありません。
タラントにはタラントの、タランタにはタランタのメロディが
ちゃんとありますので、それぞれの録音を丁寧に聴いてみてください。
ちなみに、タラントもファンダンゴのリズムで歌われる事が基本で、
踊りのバックで歌う場合のみ、ゆっくりとしたタンゴのリズムを用います。
2014年6月16日筆 Naranjita