このコーナーでは、フラメンコの用語をご紹介します。
日本では、様々な音楽ジャンルに、専門の用語があるせいか、
フラメンコでは、独特の用語を使うように思われるかもしれません。
でも、本場スペインではプロのアーティストも一般のスペイン語を使って説明していて、
特にフラメンコ専用の用語というものはありません。
ただ、スペイン語は、日本語に比べると単語の数が少なく、
ひとつの単語をいろいろな意味に使いまわすので、
私たちから見ると、誤解も起きやすいでしょう。
勘違いしないコツは、フラメンコ用語らしいスペイン語が出てきたら、
普通の西和辞典を使って確認することですね。
フラメンコ音楽用語 4)パロ3 PALO
4) パロ(曲種)とは? Vol.3
Vol.1 では、パロ(曲種)の全体的な概念について、お話ししました。
そして、Vol.2 では、エスティーロのお話しをはじめました。
さて、その続きとして、フラメンコのエスティーロがもっている、
独特の要素のお話しをしたいと思います。
Vol.2でもお話ししたように、フラメンコの歌はメロディを基準とします。
でも、そのメロディと言うのは、一般に西洋の音楽でいうメロディとは違って、
音の長さが決まってはいません。
その代り、音質やビブラートなど、音の高さ以外の要素が決まっています。
それをスペイン語では、<色合い> という意味の言葉で表現します。
それぞれの音ひとつひとつに、その<色合い>が厳密に決まっていて、
それら<色合い>をも含めて、エスティーロと呼ぶのです。
つまり、どんなに音程があっていて、リズム、音の長さがあっていても、
☆正しい音質(声を張るか、空気を混ぜるかなど)
☆ビブラート(ノンビブでいくのか、狭い幅のビブラートを上につけるかなど)
などなどの要素が、ちゃんと出来ていないと、
<あってるみたいだけど、その歌には聞こえない>と言われてしまいます。
この<音質>のような要素は、譜面に書くことはできません。
そして、言葉にするのも難しいもの。
その細かいひとつひとつの<色合い>を理解するには、
一般にスペインでは、その歌の名歌唱と言われる録音を聞きこんだり、
数多くのライブに耳のある人と通って、解説して貰いながら、
少しずつ感覚を身に付けて行くのです。
特に、実際に歌手として、その歌を歌おうとする場合には、
能力のあるのある先生に、マンツーマンで指導して貰う必要があります。
もちろん、ちゃんと出来ていなければ、
歌手として認められることはありません。
2009年5月25日筆 Naranjita