このコーナーでは、フラメンコの用語をご紹介します。
日本では、様々な音楽ジャンルに、専門の用語があるせいか、
フラメンコでは、独特の用語を使うように思われるかもしれません。
でも、本場スペインではプロのアーティストも一般のスペイン語を使って説明していて、
特にフラメンコ専用の用語というものはありません。
ただ、スペイン語は、日本語に比べると単語の数が少なく、
ひとつの単語をいろいろな意味に使いまわすので、
私たちから見ると、誤解も起きやすいでしょう。
勘違いしないコツは、フラメンコ用語らしいスペイン語が出てきたら、
普通の西和辞典を使って確認することですね。
フラメンコ音楽用語 8)カンタオール CANTAOR
8) カンタオールとは?
フラメンコでは、歌手の事をカンタオールと言います。
(女性はカンタオーラ。)
スペイン語では、一般に歌手はカンタンテと言うので、
カンタオール(カンタオーラ)と言っただけで、フラメンコの歌手だとわかります。
では、なぜフラメンコ歌手だけ違う呼び方で呼ばれるのでしょうか?
フラメンコがはじまったばかりの頃、
実は、フラメンコ歌手は、カンタドールと呼ばれていました。
フラメンコと並んで、スペインらしいこととして闘牛がありますが、
闘牛士のことをマタドールと呼ぶのはご存知でしょうか?
19世紀末頃から20世紀初頭にかけて、
フラメンコ歌手は、闘牛士と一緒に営業に回っていたことがわかっています。
フラメンコ歌手と闘牛士を兼ねていた人も何人もいましたし、
家族内にフラメンコ歌手と闘牛士の両方がいることも、一般的だったようです。
当時の闘牛(現在のもののように真剣ではなく、牛も殺すこともない、
子牛を使ってのコミカルなショーだったと言われています)
のハーフタイムショー?としてフラメンコ歌手が歌う時、
闘牛士をマタドールと呼んでいたのに習って、
フラメンコ歌手をカンタドールと紹介したのが始まりと言われています。
その後<カンタドール>がアンダルシア訛りで発音されるうちに、
カンタオールとなったようです。
(スペイン語では、一般にダンサーのことをバイラリンと言うのに対し、
フラメンコの踊り手の事をバイラオール、女性はバイラオーラと呼ぶのも、
同じ理由です。)
2014年6月28日筆 Naranjita