ソレア of フラメンコ百科事典-データベース

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このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。

意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。

パロの詳しい定義はこちら

フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。

(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)

第2グループ  ソレア系

LinkIconソレア系全体の説明はこちら

ソレア 

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ソレア系のカンテの代表がこのソレア。

複数形にしてソレアレスと呼ばれる事もあるパロですが、
アンダルシア地方の訛りで発音するとソレアとなるので、
スペインでは一般にソレアと呼ばれています。

物悲しいメロディと、ゆっくりとしたリズム、
心にしみる歌詞、それらが相まって、
多くのフラメンコファンを惹きつけ続けています。

ただ、一口にソレアと言っても、
かなりたくさんのメロディがあるので、混乱する方も多いようです。

メロディの数は、学者によっても数え方が違うのですが、
現在、ソレアと呼ばれるものが全部で約30以上もあります。

複数のCDを揃えて、いろいろな歌手のソレアを聞こうとすると、
CDごとに全く違うメロディが入っていて、
どれがソレアなのかわからなくなるのは、その為です。
その30以上もあるメロディは、いくつかの小さいグループにわけられています。


グループの名前にそれぞれのメロディが生まれた故郷の名前がついているものには、
以下があります。

ソレア・デ・カディス(南スペインの古くからある貿易港街)

ソレア・デ・へレス(カディスから山に入ったところにあるシェリー酒の町)

ソレア・デ・ウトレラ(南スペインのアンダルシア州、州都セビリアから車で30分ほどの町)

ソレア・デ・トリアーナ(昔スペインの首都でもあったセビリアの街の中の川辺の地区)

ソレア・デ・アルカラ(セビリアに首都があったころ、王家の別宅があった山間の村)

ソレア・デ・コルドバ(世界遺産の大教会メスキータでも知られる南スペインの古都)


また、曲の特徴から、名前がついたグループとして、

ソレア・アポラ(同じソレア系のカンテのポロの影響をうけていると言われる曲)

ソレア・ペテネーラ(美しいメロディで知られるペテネーラの影響を受けているカンテ)

があります。


尚、これらのグループの分け方は、フラメンコ学者によっても多少違いがあり、
現在も、多くのフラメンコ学者がソレアに関する研究を進めています。


尚、ソレアは現在はアレグリアス・ソレアのリズムを使って歌われる事が多いのですが、
以前(70年ほど前)は、ファンダンゴのリズムを使って歌われていました。

また、1980年ごろには、ゆっくりとしたブレリアのリズムで歌われていた事があります。

現在も、速いブレリアのリズムに乗せてリズミカルに歌われることもよくあります。



また、ソレアは、踊りの公演にはかかせないパロのひとつでしょう。

フラメンコでは、踊りの振り付けの構成に、とくに決まったものはありませんが、
このソレアは、とくに自由度が高くなっています。

リズムも、アレグリアス・ソレアのリズムとブレリアのリズムを何度も行ったり来たりしたり、
スピードも自在に変化できるので、踊り手の振り付けの能力を存分に見せつけることができるでしょう。

ソレアの数多くあるメロディの中で、とくに踊りの公演で多く使われるのは、
ソレアの中でも一番リズムがわかりやすいソレア・デ・カディスです。

ソレアで代表的な歌手 アントニオ・マイレーナ

LinkIconアレグリアス・ソレアのリズムへ
LinkIconブレリアのリズムへ
LinkIconファンダンゴのリズムへ



2012年3月19日筆 Naranjita