このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。
意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。
フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。
(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)
第2グループ ソレア系
ポロ
ソレア系の曲の中でも、
日本での知名度が一番低いのが
このポロではないでしょうか。
ソレア系の中で、唯一踊られることがないことが、
その原因なのかもしれません。
ゆっくりとした荘厳ともいえる美しいメロディを持つポロですが、
とくに美しいのが、ポロの特徴ともいえるラメンテの部分でしょう。
ラメンテとは、歌の途中に出てくる、あーあーあーなどのスキャットの部分です。
同じようにラメンテを持つカーニャと言うソレア系の曲があるのですが、
カーニャは踊りにも使われ、日本でもよく知られているので、
このポロと混同される事も多いようです。
ちなみに、フラメンコでは、
こういったスキャットの部分にもきちんと決められたメロディがあり、
ポロのラメンテは、短調とも長調ともいえない独特の旋律で歌われます。
また、ポロは、ポロのメロディだけ単体で歌われることはなく、
まずソレア・デ・トリアーナを歌い、続けてポロ、
そしてソレア・アポラと続けて1つの演目する習慣があります。
ポロは、もともとはアンダルシア地方の民謡だったと言われています。
民謡だった頃は、ファンダンゴのリズムで歌われていましたが、
フラメンコ化した時に、アレグリアス・ソレアのリズムで歌われるようになりました。
(フラメンコ化とは、フラメンコのもとになった歌を、
フラメンコの演目にする際にほどこされたアレンジ)
ポロはフラメンコ創世記(100年ほど前)に大変人気のあった曲でした。
その後流行も変わり、スペインでもしばらくの間あまり歌われていませんでしたが、
21世紀になってからは、復刻ブームもあって頻繁に歌われるようになり、
最近はCDにもよく取り上げられるようです。
まだ聞いたことがない方、ぜひその美しいメロディを聞いてみてください。
ポロで代表的な歌手 ナランヒート・デ・トリアーナ
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2012年3月26日筆 Naranjita