このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。
意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。
フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。
(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)
第3グループ シギリージャ系
セラーナ
シギリージャ系のカンテには、
シギリージャ以外にもあることは、
あまり知られていないかもしれません。
このセラーナは、
フラメンコの人気が盛りあがってきた20世紀初頭、
南スペインのアンダルシア地方の民謡をもとに
作られたと言われています。
民謡だった頃は、ファンダンゴのリズムでしたが、
フラメンコ化される時に、
シギリージャのリズムを使うようになりました。
ただ、ここで気を付けて頂きたい事があります。
南スペインには、今でもセラーナと言う民謡(ホタ)があるのですが、
それは、このフラメンコのセラーナとは全く別の歌で、
フラメンコのもとになった歌とは関係がありません。
フラメンコのセラーナの特徴は、
その美しいラメンテにあると言えるでしょう。
ラメンテは、嘆きという意味で、
フラメンコでは、歌詞がなく、
ソレア系のカーニャやポロにもある
あーあーあー のようにスキャットで歌う部分のことをさします。
セラーナのラメンテは、カーニャやポロよりも、
よりメロディアスで繊細で、その分、難易度が高く、
歌いこなすことがとても難しいだけではなく、
透明感のある声でないと表現ができないので、
フラメンコがしゃがれ声がブームだった頃には、
ほとんど歌われなくなってしまいました。
現在では、美しい声のフラメンコ歌手が再び珍重されるようになったので、
このセラーナも、久々に歌われるようになったのです。
また、セラーナは単体で歌われる事は少なく、
一般に、同じシギリージャ系のリビアーナといっしょに歌われます。
セラーナで代表的な歌手 ペペ・デ・ラ・マトローナ
ファンダンゴのリズムへ
シギリージャのリズムへ
2012年5月10日筆 Naranjita