グアヒーラ of フラメンコ百科事典-データベース

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このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。

意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。

パロの詳しい定義はこちら

フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。

(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)

第5グループ  イダイブエルタ系

LinkIconイダイブエルタ系全体の説明はこちら

グアヒーラ 

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イダイブエルタ系のカンテといえば、
すぐにこのグアヒーラがあがるほど、
日本でもとても人気があるカンテです。

でも、スペインでは、
1930年ごろに一度流行ったっきり、
しばらくあまり人気がありませんでした。



その後の世の中の流れで、あのような甘いメロディは、
あまり好まれなくなっていたのでしょう。

ただ、スペインも21世紀に入って、人々の考え方もかわり、
それにつれて2010年ころからグアヒーラの人気も再燃、
最近の若いフラメンコ歌手達も、こぞって録音するようになりました。


では、グアヒーラの少し詳しい説明に入りましょう。

まず、グアヒーラという言葉の意味なんですが、
その明るい曲調と違って、
スペインの悲しい歴史を背負った、ある人達をさします。


15世紀に新大陸を発見してから、
スペインは中南米を植民地にして栄華を極めました。

でも、アメリカの台頭などもあって、中南米統治時代が終わった時には、
スペイン人たちは、本国に引き揚げざるを得なくなったんです。

そんなスペインに引き揚げてきた人達の多くは、
植民地では統治者として多くの人を使っていたのですが、
グアヒーロ(男性)、そしてグアヒーラ(女性)と呼ばれたのは、
スペイン人であるにも関わらず、植民地で肉体労働をしていた人達です。

引き揚げてくる船でも、船底の一番居心地の悪い場所に詰め込まれ、
やっとの思いで帰国したんだそう。


そんなつらい思いをしている彼らを題材にした歌が、
グアヒーラなんです。

明るい曲調の中に、何とも言えないもの悲しさが漂わせられたら、
フラメンコ歌手冥利につきるかもしれませんね。


グアヒーラは、今は、ファンダンゴのリズムで歌われることが多いのですが、
初期の頃は、他のイダイブエルタの曲と同じように、
タンゴのリズムで歌われていました。

スペインでは、現在でも、グアヒーラをタンゴのリズムで歌うことがありますが、
ファンダンゴのリズムで歌うよりも、より中南米の香りを感じることができるでしょう。


グアヒーラで代表的な歌手 ナランヒート・デ・トリアーナ

LinkIconファンダンゴのリズムへ
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2012年8月6日筆 Naranjita