トナー of フラメンコ百科事典-データベース

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このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。

意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。

パロの詳しい定義はこちら

フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。

(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)

第7グループ  シンギターラ系 

LinkIconシンギターラ系系全体の説明はこちら

トナー 

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トナー

トナーはフラメンコで一番古い歌と
言われています。

文献によると、
18世紀にすでにトナーらしき歌が
歌われていた記録があるほど。



当時は、かなり多くのトナーがあったらしいのですが、
現在まで伝わっているのはわずか3つのメロディだけ。

ただ、消えてしまった数多くのメロディは、他の曲種に姿をかえ、
今もフラメンコのカンテとして歌われているのではないかと言われています。


トナーは、スペイン語で音や音程を表す トノ という言葉を語源としていて、
音程を持つ歌 という意味だと考えられます。

それ以前の歌は、そこまではっきりとした音程を持っていなかったので、
メロディがはっきりしたトナーは、その名で呼ばれたのでしょう。


トナーは、無伴奏、リブレで歌われます。
(リブレの説明は下のリンクをクリックしてください。)

また、コンサート全体がマイクを使って行われても、
トナーだけはマイク無しで歌われることも多く、
当時の雰囲気そのままに演じられることが好まれています。


尚、無伴奏ゆえに、音程は平均律とはかなり離れており、
それまでに西洋音楽の勉強をしてきた歌い手には、
音程をとることが大変難しくなっています。

特に、私たち外国人歌手にとっては、フラメンコのレパートリーで、
一番の難曲と言ってもいいでしょう。

習得は大変ですが、正しい音程で歌うことができれば、
平均律では表現できない、独特の美しい世界が広がります。

リズミカルな曲でフラメンコに興味を持ち、
当HPにたどり着いた音楽関係者のみなさんにこそ、
ぜひ聞いていただきたい曲が、このトナーなのです。


トナーで代表的な歌手 アントニオ・チャコン

LinkIcon用語リブレの解説へ




2012年9月16日筆 Naranjita