このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。
意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。
フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。
(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)
第7グループ シンギターラ系
デブラ
デブラ
デブラは、
このシンギターラのグループの中でも、
特に歌われることが
多い歌と言えるでしょう。
もともとは、トナーのひとつと数えられ、
トナーデブラと呼ばれていましたが、
のちにデブラとだけ呼ばわるようになり、1つの曲種になりました。
デブラというのは、ヒターノの言葉で神を表します。
(ヒターノとはスペインに住むロマのことです。)
ただ、この曲種のデブラは、神のことではなく、
ブラという歌手が歌ったトナー、
トナー・デ・ブラ から、デブラとなりました。
トナーに比べて、メロディが非常に繊細で、
多くのメリスマ(こぶしのようなビブラートのような装飾音)を使い、
表現される大変美しいカンテです。
リズムはもちろんリブレです。
1900年から20年ごろに多くの歌手に歌われ、
それぞれの歌手が多彩にアレンジを加えましたが、
現在残っているのは、トマ・パボンのバージョンのみ。
現在でも多くのフラメンコ歌手が、
トマ・パボンバージョンのデブラを歌っています。
デブラで代表的な歌手 トマ・パボン
2012年9月17日筆 Naranjita