このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。
意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。
フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。
(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)
第11グループ その他のカンテ
ファルーカ
ファルーカ
もともとファルーカというのは、
スペイン北部のアストリア地方から来た人や、わたってきた鳥を、
アンダルシア地方の人たちが呼んだ名前です。
この歌も、スペイン北部から伝わったので、
この名前がついたと言われています。
ここでひとつ、気を付けて頂きたいことがあります。
ファルーカなら知っていると、
日本の往年のスパニッシュギターファンの方がよくおっしゃるのですが、
ギター曲のファルーカと、フラメンコのファルーカは全く別の曲です。
全体に流れる物悲しい雰囲気や、リズムなどは一緒なのですが、
メロディは全くの別物なのでご注意ください。
ギター曲のファルーカには歌詞もなく、歌われることがないので、
フラメンコの曲種になることは、もともとありえないのです。
ファルーカも、同じグループのガロティンとほぼ同時期に流行し、
同じころにフラメンコ歌手がレパートリーに加えたと言われ、
1910年~20年ごろに特に多く歌われました。
尚、ファルーカも踊られることが多い歌なのですが、
最初に踊られたのは、1918年にクラシックバレーとしてでした。
その後、1950年以降になって、他のフラメンコの曲と同じように、
踊られるようになりました。
(ギター曲のファルーカもよく踊られますが、
もちろん、以上の説明とは関係ありません。)
ファルーカのリズムは、ゆったりとしたタンゴで、
メロディには多くの装飾音が付き、
日本人わかりやすい短調のメロディながら、
実際に歌ってみると、なかなか歌いごたえがある歌です。
ファルーカ独特の切ないメロディは、特に日本人に人気があります。
ファルーカで代表的な歌手 マヌエル・トーレ
2012年10月14日筆 Naranjita