6.ペテネーラ of フラメンコ百科事典-データベース

当サイトはフラメンコのカンテと理論の教室 カンテ・デ・ナランヒータが運営しています。

HOME > パロ(曲種) > 6.ペテネーラ

このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。

意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。

パロの詳しい定義はこちら

フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。

(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)

第6グループ  ペテネーラ 

284.jpg

ペテネーラ

ペテネーラのグループは、
ペテネーラという曲種だけでできています。

ほかの曲と一緒になっていないのは、
それだけ特殊だからなんです。



ペテネーラは長い間、
曲種グループ5のイダイブエルタに含まれると思われてきました。

というのも、1808年にメキシコの劇場で、
ペテネーラという曲が歌われたという記録が残っていたから。

しかし、その後、どうやらその曲は、名前が同じなだけで、
実は別の曲ではないかといわれるようになり、
現在では、主にセファルディ(15世紀までスペインに住んでいたユダヤ人)
が歌っていた歌がもとになっているのではないかと言われています。


個人的な話で恐縮ですが、
私のイスラエル人の友人は、
地元で伝統曲の歌手を代々しているのですが、
現在スペインで歌われているペテネーラとまったく同じメロディの歌を、
親から習って歌っていると言って、聞かせてくれたことがあります。

そのメロディは、フラメンコのペテネーラより少し単純なだけで、
ほぼ同じものでした。

イスラエル伝統の歌い方は、フラメンコとは全く異なるのですが、
独特の物悲しさや美しさはそのままでした。



ペテネーラのメロディのバリエーションに関しては、
以前はたくさんのメロディがあったとの記載が残ってはいるものの、
現在まで伝わっているメロディはたったの3つだけ。

フラメンコ歌手が歌い始めるまでは、ファンダンゴの軽快な3拍子のリズミカルな歌で、
みんなで集まって歌い踊られていたようです。

その後、フラメンコ歌手が歌うようになってからは、
リズムがゆるやかになり、現在ではほぼリブレ(以下のリンクから用語参照)
で歌うことが一般的です。


尚、現在、多くのフラメンコ歌手に歌われているペテネーラは、
ナランヒート・バージョンと呼ばれています。

というのも、もともとはシンプルだったペテネーラを、
現在のドラマチックなカンテにアレンジしたのは、
トリアーナ出身の大フラメンコ歌手ナランヒート・デ・トリアーナその人で、
彼の功績は、ペテネーラとともに永遠に残るだろうと言われています。


ペテネーラで代表的な歌手 ナランヒート・デ・トリアーナ

LinkIconファンダンゴのリズムへ
LinkIcon用語リブレの解説へ



2012年9月15日筆 Naranjita