このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。
意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。
フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。
(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)
第7グループ シンギターラ系
シンギターラ系
シンギターラは、
シン(無しに)ギターラ(ギター)。
つまり無伴奏の歌のグループです。
フラメンコの歌は、本来すべて無伴奏でした。
その後マンドリンのような小さい楽器の伴奏がついたり、
劇場で歌われるようになってピアノの伴奏がつき、
ギターが流行してからは、ギターでの伴奏が主流になりました。
現在では、フラメンコの伴奏は多くの楽器が行っており、
21世紀になって再度主流になってきたピアノ、
そして、クラシックのオーケストラ、ジャズのビッグバンド、
ロックバンド、南米風のオルケスタなどなど、
ありとあらゆる形態で演奏されています。
では、お話しをシンギターラに戻しましょう。
シンギターラの曲は、フラメンコのもとになった歌にとても近く、
フラメンコの多くの曲種の中でも、特に古い時代に生まれました。
今から数百年も前、スペインには吟遊詩人が多く存在しました。
吟遊詩人たちが歌っていた歌が、ロマンセ。
ロマンセは、ロマンスの語源にもなっているように、
ひとつのストーリーを音楽とともに語ったものと言われています。
当時、数多く存在していたロマンセは、
その後、フラメンコへと姿を変えていったと言われています。
吟遊詩人が歌っていたロマンセは、
よく知られた昔話や、格言の入った物語などだったのですが、
フラメンコになっていく過程で、
歌の内容はより個人的なものになり、
自分の感情を歌い上げる形に変わっていったのです。
そして、単調だったロマンセのメロディは、
よりメロディアスで美しいものへと進化していきました。
スペインのフラメンコのコンサートでフラメンコ歌手は、
無伴奏(シンギターラ)の歌を1曲は歌うのが通例になっています。
マイクもはずして、歌い手自身の生声で朗々と歌われる無伴奏のカンテ。
歌い手の実力がはっきりとわかる演目でもあります。
このグループには、トナー、マルティネーテ、デブラ、
カルセレラ、カンテデトリジャの5つの曲種があります。
トナーの解説はこちら
マルティネーテの解説はこちら
デブラの解説はこちら
カルセレラの解説はこちら
カンテデトリジャの解説はこちら
2012年9月16日筆 Naranjita