このコーナーでは、フラメンコのパロ(曲種)についてご説明します。
意外と思われるかもしれませんが、ある曲があるとき、
その曲がフラメンコかどうかを決めるポイントは、実はメロディなんです。
フラメンコは各パロ(曲種)ごとに決まったメロディがあって、
パロ(曲種)によっては、ひとつのパロ(曲種)に複数のメロディがあることもあります。
それらのメロディが全部集まって、フラメンコを作っています。
フラメンコには譜面もないので、パロ(曲種)の分類はあくまでも耳だけが頼り。
フラメンコ好きを自負される方にも、パロ(曲種)の分類はかなり難しいことです。
フラメンコでは、いくつかのパロ(曲種)を集めたグループ単位で、
パロの勉強をすることが一般的ですので、グループに分けてご紹介します。
(尚、当サイトのグループへの分類方法はカンテ・デ・ナランヒータのオリジナルです。)
(グループ全体の説明から、各パロの説明へと読み進めると理解しやすいようになっています。)
第8グループ レバンテ系
レバンテ系
レバンテというのは、
南スペインのアンダルシア地方の
東側にあたる地域の名前で、
山が多く、古くは炭鉱で栄えました。
19世紀前半、当時の国王は、
レバンテの鉱山に大勢の労働者を集めました。
労働者たちは、アンダルシア全域から集められていたのですが、
もともと歌が大好きだった彼らが、
仕事の疲れを取るために歌った懐かしいふるさと歌が、
レバンテ地方で発達し、
レバンテ系のカンテのもとになったと言われています。
それにもともと地元にあったさまざまな美しいメロディも加わり、
多くの歌が生まれ、歌われたのです。
19世紀半ばには、それらの歌が鉱山労働者だけではなく、
近郊の大都会マラガでも歌われるようになっていき、
現在のレバンテ系のカンテを形作っていきました。
レバンテ系のカンテは、どれもファンダンゴのリズムで歌われます。
歌詞は、炭鉱で働く肉体的な苦しさや、危険と隣あわせの毎日を歌ったものなど、
全体に暗いものが多いのが特徴です。
メロディは抒情的でたおやかで、
緩やかにのびやかに歌い上げられます。
また、以上のような歴史的理由から、
レバンテ系のカンテはカンテデラスミナス(炭鉱のカンテ)とも呼ばれ、
同名のカンテのコンクールは、スペインでも特に重要なコンクールのひとつです。
レバンテ系のカンテには、
タランタ、タラント、カルタヘネラ、ミネラがあります。
カルタヘネラの解説はこちら
ミネラの解説はこちら
タランタの解説はこちら
タラントの解説はこちら
2012年9月22日筆 Naranjita