このファンダンゴ系は、マラガやグラナダを中心とする、アンダルシア地方の中央部で生まれた歌で、ファンダンゴのリズムを持つ曲の集まりです。
基本的にこのグループに含まれる曲は、同じファンダンゴのリズムを持っているのですが、その演奏方法で、以下の2つにわけることができます。
1)リズムがリブレの ファンダンゴ・ナトゥラル
2)リズムがアバンドラオの ファンダンゴ・アバンドラオ
まず、ファンダンゴ・ナトゥラルですが、ナトゥラルは、英語でいうナチュラルのことで、自然であること、ありのままであるという意味。
リブレとは、他の曲種の説明でも繰り返し出てきているリズムの取り方で、拍は一応存在するのですが、各拍、1拍づつの長さが自由で、1拍目が1秒で、2拍目が10秒、3拍目が0.1秒ということもあり、リズムを刻むことよりも、メロディの美しさを追求する表現方法です。
つまり、リズムを刻んだりせず、自然にメロディを歌うグループと言えるでしょう。
逆に、アバンドラオでは、拍の長さは固定でかなり早く、伴奏はしっかりとリズムを刻みます。
伴奏するギターのアバンドラオという独特の弾き方からこの名前が付きました。
もともとアバンドラオには、旗を持つ、先頭をつとめるなどの意味があり、かなり勇ましく、じゃんじゃんじゃん とかき鳴らすことが特徴です。
スパニッシュギターというと、このアバンドラオのギターをイメージする方も多いようで、舞台で闘牛士の登場シーンなどで使われるリズムがこのアバンドラオなんです。
ファンダンゴ・ナトゥラルには、
グラナイーナ、メディア・グラナイーナ、マラゲーニャがあり、
ファンダンゴ・アバンドラオには、
ハベゴテ、ハベラ、ロンデーニャ、ベルディアーレス があります。
尚、ファンダンゴ・ナトゥラルを歌うときには、歌の最後に、アバンドラオを付ける習慣があり、特にマラゲーニャを歌うときには、必ずアバンドラオのどれかをつけます。
というのも、フラメンコには、ゆっくりとした曲を演奏する場合、そのまま終わるのを嫌って、後半でリズムをリズミカルなものに切り替えて、元気のいい短い曲を続けて演奏して終わる習慣があるからなんです。
日本人の感覚だと、そのままゆっくりしみじみと終わってほしいと思うのですが、スペイン人はそのままでは暗くなってしまうと、リズミカルに盛り上げて終わろうとするんですね。
常ににぎやかなことを好む、スペイン人らしい考え方だと思います。
ファンダンゴ・ナトゥラルの各曲種は以下をご覧ください。
グラナイーナの解説はこちら
メディアグラナイーナの解説はこちら
マラゲーニャの解説はこちら
ファンダンゴ・アバンドラオの各曲種は以下をご覧ください。
ハベゴテの解説はこちら
ハベラの解説はこちら
ロンデーニャの解説はこちら