その他のカンテには、今までのどのグループにも属さない2種類のカンテを集めました。
ひとつは、他のフラメンコの曲とは違う道をたどってフラメンコになった曲。
もうひとつは、キリスト教関係のフラメンコの曲です。
まず、他のフラメンコの曲とは違う道をたどってフラメンコになった曲から、説明を始めましょう。
今までにたくさん紹介してきたフラメンコの曲は、どれも故郷がスペイン南部のアンダルシア地方にありました。それが、その後編曲されフラメンコの歌になったのです。
でも、このグループに属する曲は、スペイン北部で生まれた民謡を基にしています。
スペイン北部で生まれ、1910年ごろ、マドリッドやバルセロナなどの都会で流行した歌に、ガロティンとファルーカという曲がありました。
そのどちらもが、当時の様々な歌手によって、あちらこちらのライブハウスなどで歌われました。
そのうちに、当時同じように大流行中だったフラメンコを歌う歌手達も、ガロティンやファルーカを覚えて歌うようになり、そのままフラメンコのレパートリーになったと言われています。
そのため、他のフラメンコの曲に比べると、メロディがとてもわかりやすく、微分音などもあまり出てきません。
外国人が最初に取り組むのに、適した歌だと言えるでしょう。
そして、もうひとつのキリスト教関係の曲について、ご紹介しましょう。
スペインは、カトリック信仰の強い国として知られていると思います。
政治体制が変わり、宗教教育の義務がなくなった今でも、国民のほとんどが、カトリック信者です。
そんなカトリック信者たちの手によって生まれたのが、フラメンコ。
その後も、カトリック信者たち歌われ、演奏され、踊られてきました。
カトリックの行事で大きいものといえば、イースター(スペインではセマナサンタ)とクリスマスですが、フラメンコにも、それぞれの行事用の歌が存在します。
まず、世界で一番大きいイースターが行われるセビリアで、イースター前後の期間に多くの教会でも歌われ、街をイースターの山車が練り歩く時にも、マリア像やイエス像に向かって歌われるのが、サエタです。
次に、クリスマスで歌われる曲で一番有名なのが、カンパニジェロです。
長年の間、多くのフラメンコ歌手によって歌われ、教会でのクリスマス礼拝でも歌われた曲です。
それ以外にも、いくつかのクリスマス用のフラメンコの歌があり、それらをまとめて、ビジャンシーコス・フラメンコスという曲種名で呼んでいます。
他のフラメンコの曲とは違う道をたどってフラメンコになった曲、各曲種の解説は以下をご覧ください。
ガロティンの解説はこちら
ファルーカの解説はこちら
キリスト教関係の各曲種は以下をご覧ください。
サエタの解説はこちら
カンパニジェロの解説はこちら