スペインの南、海を渡ればアフリカ大陸という場所に、アンダルシアという地方があります。
多くは海に面した暑い地域ですが、冬にはスキーが出来る山もありますし、自然の動植物がたくさん住んでいる国立公園もあります。
そんなアンダルシアの中で、一番大きな街がセビージャ。
以前はスペインの首都でもありました。
セビージャはフラメンコの生まれ故郷です。
そして、このソレア系のカンテもほとんどがセビージャで生まれました。
ソレアで一番古いとされているソレア・デ・アンドンナは、セビージャ市西側の川辺のトリアーナ地区で、19世紀にすでに歌われていたと言われています。
残念ながら、ソレア・デ・アンドンナは現在では忘れ去られ、どんなメロディだったかすらもわからなくなってしまいましたが、セビージャ市トリアーナ地区で生まれたソレアというカンテは、その後、あちらこちらの地方に広まり、数多くのメロディができました。
同じセビージャ県にあるアルカラの町では、ソレア・デ・アルカラが生まれ、それがへレスに伝わって、ソレア・デ・へレスになりました。
また、ソレアが20世紀初頭、当時のマドリッドやアンダルシア地方のライブハウスで大人気となったので、ポロ、カーニャ、バンベーラと言ったソレアの仲間もたくさん生まれ、観客をおおいに沸かせたと言われています。
そしてフラメンコの踊りの世界では、明るい曲の代表アレグリアスと並んで、ソレアは暗い曲の代表と言われ、ほとんどの踊りの公演で踊られています。
一方、多くのフラメンコファンを悩ませていることに、ソレアのメロディが把握しづらいという点があるでしょう。
ソレアのゆっくりとした情熱的なマイナーなメロディは、その個性ゆえになかなか聞き分けるのが難しいカンテです。
というのも、メロディの数がかなり多く、(その数は研究する学者によってもまちまちですが、約30ほどあります。)
フラメンコ歌手は、その内のいくつかを選んで自分で組み合わせて歌うので、いくつかの音源を集めても、必ずしも同じメロディが出てくるとは限りません。
また、フラメンコ歌手は、各々の個性を盛り込んでのアレンジも加えますので、それぞれのメロディの区別がよりつきにくくなってしまいます。
それでも、ソレアだけに絞って丁寧に聞き込みを続けると、だんだんとそれぞれのメロディの違いが聞こえるようになってきます。
その瞬間が、フラメンコファンにとっては至福の時なんですよね。
このソレアのグループに含まれるカンテは、
ソレア、ポロ、カーニャ、そしてバンベーラです。
以下に、このグループの中の曲を、ご紹介します。
ソレアの解説はこちら
ポロの解説はこちら
カーニャの解説はこちら